ICP備案の確認方法|ICPライセンスの基礎とSEOへの影響

中国向けのWebサイトを調べていると、ページの一番下に「京ICP备XXXXXXXX号」のような番号が書かれているのを目にすることがあります。これが「ICP備案(ICP备案)」の番号です。

自社サイトの中国展開を検討しているとき、取引先や競合のサイトを調べるとき、あるいは中国の代理店から「備案が必要です」と言われたときなど、ICP備案について正しく理解しておくと判断がしやすくなります。

この記事では、ICP備案の基本、備案状況を確認する方法、そして百度SEOへの影響について解説します。

ICP備案(ICPライセンス)とは

中国本土でWebサイトを公開するための登録制度

ICP備案とは、中国本土でインターネット情報サービスを提供する際に、所管当局に届け出て登録する制度です。ICP は Internet Content Provider の略で、所管は中国の工業和信息化部(工信部、MIIT)です。

根拠となる法令としては、国務院の「互联网信息服务管理办法(インターネット情報サービス管理弁法)」が知られています。この弁法では、インターネット情報サービスを「経営性」と「非経営性」に分け、非経営性のものは備案制、経営性のものは許可制とする考え方が示されています。

日本では「ICPライセンス」という言葉で一括りにされることも多いのですが、実際には次の2つを区別して理解しておくと混乱しにくくなります。

区分 中国語 主な対象 番号の例
ICP備案 ICP备案 非経営性のサイト(企業の紹介サイトなど) 京ICP备XXXXXXXX号
ICP経営許可証 ICP经营许可证(ICP证) 経営性のサイト(有償の情報サービスなど) 京ICP证XXXXXX号

番号の先頭の1文字は、登録した省・直轄市などの略称です(「京」は北京、「沪」は上海、「粤」は広東など)。番号の後ろに「-1」「-2」のような枝番が付くこともあり、同じ主体が複数のサイトを登録している場合などに使われます。

どのサイトが「経営性」に当たるかの判断や、許可証の取得条件は、事業内容によって異なります。自社のケースが該当するかどうかは、専門家や中国のサーバー事業者に相談し、最新の公式情報を確認してください。

誰がICP備案を必要とするのか

一般的に、中国本土のサーバー(クラウドを含む)でWebサイトを公開する場合には、ICP備案が必要とされています。中国本土のクラウドサービスやレンタルサーバーでは、備案が完了していないドメインではサイトを公開できない、または一定期間で停止されるといった運用が一般的です。

反対に、香港や日本など中国本土外のサーバーでサイトを公開する場合は、ICP備案は求められないのが一般的です。ただし、その場合は中国国内からの表示速度や安定性の面で不利になることがあります。

誰が申請できるのか

ICP備案は、中国本土のサーバー事業者(接入商)を通じて申請するのが一般的な流れです。申請主体は中国国内の法人や個人とされており、日本法人がそのまま申請できるわけではない点に注意が必要です。日本企業の場合、中国現地法人の名義で申請するケースが多く見られます。

必要書類や審査期間、ドメインの登録条件などはサーバー事業者や地域によって異なり、制度の運用も変わることがあるため、最新情報は工信部の公式サイトや利用予定のサーバー事業者の案内で確認してください。

公安備案との違い

ICP備案とは別に、公安機関への届出である「公安備案(公网安备)」もあります。こちらは公安部の「全国互联网安全管理服务平台」で手続きを行うもので、サイトのフッターに「京公网安备XXXXXXXXXXXXXX号」のような番号が表示されていることがあります。ICP備案とは所管も目的も異なる別の制度です。

ICP備案を確認する方法

方法1: サイトのフッターを見る

最も手軽なのは、対象サイトのフッター(ページ最下部)を見る方法です。ICP備案を取得したサイトでは、備案番号をページ下部に表示し、工信部の備案管理システムへリンクすることが求められているとされています。

ただし、フッターの表示だけでは次のような点が分かりません。

  • その番号が本当に有効か
  • 番号がどの主体(会社名など)に紐づいているか
  • 対象のドメインがその備案に含まれているか

表示されている番号が他社のものだったり、すでに取り消されていたりする可能性もゼロではありません。正確に確認したい場合は、公式のシステムで照会しましょう。

方法2: 工信部の備案管理システムで照会する

公式に確認するには、工信部の「ICP/IP地址/域名信息备案管理系统」(beian.miit.gov.cn)を利用します。このシステムでは、ドメイン名・備案番号・主体名称などから備案情報を検索できるとされています。

一般的な手順は次のとおりです。

  1. beian.miit.gov.cn にアクセスする
  2. 公開情報の照会画面で、検索したいドメイン名や備案番号を入力する
  3. 画面の指示に従って認証(画像認証など)を行う
  4. 検索結果を確認する

照会結果では、主に次のような情報を確認できます(表示項目は変更されることがあります)。

項目 中国語の表記例 内容
主体名称 主办单位名称 備案した会社・団体・個人の名称
主体の性質 主办单位性质 企業、個人などの区分
備案番号 网站备案号/ICP备案号 京ICP备XXXXXXXX号-1 など
サイト名 网站名称 届け出たサイト名
ドメイン 网站域名 備案に含まれるドメイン
審査日 审核日期 備案が通過した日付

画面は中国語で、アクセス環境によっては接続しにくい場合もあります。システムの画面構成やURLは変更されることがあるため、うまく表示できない場合は工信部の公式サイトから最新の案内を確認してください。

方法3: ツールでまとめて確認する

複数のドメインを調べたい場合や、Whois や百度の収録状況とあわせて確認したい場合は、ICP備案の照会機能を持つツールを使う方法もあります。ツールの情報は公式システムの情報をもとにしていても、更新のタイミングによっては最新の状態と異なる場合があるため、重要な判断の際は公式システムでも確認すると確実です。

ICP備案を確認する場面

自社サイトの備案状況の確認

中国の代理店や制作会社にサイトの運用を任せている場合、「自社サイトがどの主体の名義で備案されているか」を把握していないことがあります。代理店の名義で備案されていると、契約終了時や体制変更時に手続きが複雑になる可能性があるため、一度確認しておくと安心です。

あわせて、次の点もチェックしておきましょう。

  • 備案の主体名称が自社(または現地法人)になっているか
  • 運用中のドメインがすべて備案に含まれているか
  • フッターの備案番号の表示が正しいか

取引先・提携先のサイトの確認

中国企業と取引を始める前に、相手のWebサイトのICP備案を確認すると、サイトの運営主体が名乗っている会社名と一致しているかを確かめる手がかりになります。

ただし、備案があることは「その主体がサイトを届け出ている」ことを示すにすぎず、企業の信用力や事業の実態を保証するものではありません。企業そのものの調査には、工商登記情報や行政処罰・司法情報などをあわせて確認することが大切です(詳しくは「中国企業の信用調査の方法」の記事で解説しています)。

競合サイトの調査

百度で上位に表示されている競合サイトがどのような主体によって運営されているか、中国国内サーバーで運用しているかを推測する材料としても、ICP備案の情報は役立ちます。

ICP備案とSEOの関係

ICP備案そのものが順位を上げるわけではない

まず押さえておきたいのは、「ICP備案を取得すれば百度の順位が上がる」と公式に示されているわけではない、という点です。百度は検索順位の評価要素の詳細を公開していないため、備案の有無が直接どの程度評価に影響するかは分かっていません。

間接的な影響は大きいと考えられる

一方で、ICP備案は中国本土のサーバーを使うための前提条件であり、次のような点で百度SEOに間接的に影響すると考えられています。

観点 中国国内サーバー(ICP備案あり) 中国本土外サーバー(備案なし)
中国国内からの表示速度 速く安定しやすい 通信経路の影響で遅く不安定になることがある
百度のクロール 安定して巡回されやすいと考えられる 巡回や収録に時間がかかることがあるとされる
ユーザーの信頼感 フッターの備案番号が信頼の目安になることがある 備案番号の表示がない
導入のハードル 中国国内の法人等が必要で手続きがある 手続きは比較的少ない

表示速度は、ユーザーの離脱率にも影響します。ページがなかなか表示されなければ、検索から訪れたユーザーがすぐに戻ってしまい、成果につながりにくくなります。

備案なしで百度SEOに取り組む場合

ICP備案を取得できない、または当面取得の予定がない場合でも、百度SEOに取り組めないわけではありません。

  • 中国本土からのアクセスを考慮した、香港など近隣地域のサーバーを使う
  • 中国国内で読み込みにくい海外の外部リソース(フォント、スクリプトなど)を減らす
  • 画像の圧縮などでページを軽量化する
  • 百度搜索资源平台に登録し、収録状況を確認する

といった工夫で、できる範囲の改善を図ることができます。

ICP備案に関する注意点

備案情報は変わることがある

備案は、主体の変更やサーバー事業者の変更、サイトの閉鎖などによって変更・取り消しされることがあります。また、備案情報が実態と異なる場合や、届け出た内容に問題がある場合には、備案が取り消される可能性もあるとされています。自社サイトの備案状況は定期的に確認しておきましょう。

サーバー移転時は事前に確認する

中国国内でサーバー事業者を変更する場合には、備案の手続き(接入の変更など)が必要になることがあります。手続きの完了前にサーバーを切り替えると、サイトが表示されなくなるおそれがあるため、移転のスケジュールは余裕をもって計画しましょう。

制度は最新情報で確認する

ICP備案の制度や運用は、法令改正や当局の方針によって変わることがあります。本記事は一般的な情報の整理であり、具体的な手続きや法的な判断については、工信部の公式情報、利用するサーバー事業者、専門家に確認してください。

まとめ

  • ICP備案は、中国本土でWebサイトを公開する際に必要とされる登録制度で、所管は工信部
  • 非経営性サイトの「ICP備案」と、経営性サイトの「ICP経営許可証」は区別して理解する
  • 備案状況は、フッターの表示だけでなく、工信部の備案管理システム(beian.miit.gov.cn)で照会するのが確実
  • ICP備案そのものが順位を上げるわけではないが、中国国内サーバーの利用を通じて表示速度やクロールの面で間接的にSEOに影響すると考えられる

SEOChinaでできること

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