百度SEOの基本|Googleとの違いと押さえるべき対策

中国向けサイトで検索からの集客を考えるとき、避けて通れないのが百度(Baidu)への対策、いわゆる「百度SEO」です。Google の SEO に慣れている担当者ほど「基本は同じだろう」と考えがちですが、百度ならではの事情もあります。

この記事では、Google SEO との違いを軸に、百度SEOで押さえておきたい基本をまとめます。中国向けサイトを運営する日本企業の Web 担当者や、中国進出支援・SEO 代理店の方が、施策の全体像を整理する際の参考にしてください。

百度SEOとは

百度SEOとは、中国の検索エンジン「百度」の検索結果で、自社サイトをより上位に表示させるための取り組みです。中国本土では Google の検索サービスに通常の方法でアクセスできないため、中国のユーザーに向けた集客では、百度をはじめとする中国の検索エンジンが主な対象になります。

基本的な考え方は Google SEO と共通しています。ユーザーの検索意図に合った質の高いコンテンツを用意し、検索エンジンがページを正しく巡回・理解できるよう技術的な環境を整えることです。そのうえで、言語、サーバー環境、検索結果の構成などに百度特有のポイントがあります。

百度SEOとGoogle SEOの主な違い

まず全体像を表で整理します。細かな評価の仕組みはどちらの検索エンジンも公開していないため、ここでは一般的に言われている傾向としてご覧ください。

観点 百度SEO Google SEO(日本向け)
言語 簡体字中国語のコンテンツが基本 日本語
サーバー 中国国内サーバーが有利とされることが多い(ICP備案が必要) 国内外の制約は比較的少ない
運営者向けツール 百度搜索资源平台 Google Search Console
検索結果の構成 広告枠や百度自社サービスのコンテンツが目立つことが多い 自然検索・広告・各種機能枠
JavaScript 重い描画処理への対応はGoogleより慎重に考えるべきとされる レンダリングに比較的対応
外部サービス 中国国内で利用しにくい海外サービス・CDNに注意 制約は比較的少ない

以下、それぞれのポイントを詳しく見ていきます。

簡体字中国語のコンテンツを用意する

繁体字ではなく簡体字が基本

中国本土で使われているのは簡体字です。台湾・香港向けの繁体字ページや、日本語ページだけでは、中国本土のユーザーが実際に検索するキーワードと一致しにくくなります。中国本土のユーザーを狙うなら、簡体字中国語のページを用意することが出発点です。

翻訳ではなく「キーワード起点」で作る

日本語の原稿を中国語に翻訳するだけでは、中国のユーザーが使う言葉とずれることがあります。たとえば、日本語で一般的な製品名や業界用語が、中国では別の言い方で検索されていることは珍しくありません。

  • 中国のユーザーが実際に使う検索語を調べる(百度の検索候補や関連検索、百度指数などが参考になります。手順は「百度向けキーワード調査のやり方」で解説しています)
  • その検索語に答える構成でページを作る
  • ネイティブの目で自然な表現になっているか確認する

という流れで作成すると、検索意図に合ったコンテンツになりやすくなります。

HTMLの言語指定もそろえる

ページの html 要素の lang 属性を簡体字中国語(zh-CN など)にしておく、文字コードを UTF-8 にそろえるなど、基本的な設定も確認しておきましょう。多言語サイトの場合は、言語ごとに URL を分けておくと、検索エンジンにもユーザーにも分かりやすくなります。

中国語サイトを新しく作るときの確認項目は「日本企業が中国語(簡体字)サイトを作るときのSEOチェックリスト」にまとめています。

中国国内サーバーとICP備案

表示速度と安定性が重要

中国国内のユーザーが海外のサーバーにアクセスすると、通信経路の事情から表示が遅くなったり、不安定になったりすることがあるとされています。百度のクローラー(Baiduspider)がページを巡回する際にも同様の影響を受ける可能性があり、百度SEOでは中国国内のサーバーを使うことが有利だと言われることが多いです。

また、Google Fonts や海外の CDN、海外の解析タグなど、中国国内で読み込みにくい外部リソースがページの表示を遅らせる原因になることもあります。中国向けのページでは、外部リソースの読み込み先も見直しておきましょう。

サーバーの選択肢(中国国内・香港・海外・CDN)の比較と、中国本土からの表示速度の測り方は「中国向けサイトのサーバー選び」で解説しています。

中国国内サーバーにはICP備案が必要

中国本土のサーバーでWebサイトを公開するには、原則として ICP備案が必要です。ICP備案は中国の工業和信息化部(工信部)が所管する制度で、取得には中国国内の法人などの条件があるとされています。ICP備案を取得できない場合は、香港など中国本土外のサーバーを使う選択肢もありますが、表示速度などの面でトレードオフがあります。

ICP備案の詳しい内容や確認方法は、別記事「ICP備案の確認方法」で解説しています。制度の詳細や手続き要件は変更されることがあるため、最新情報は工信部の公式サイトやサーバー事業者の案内で確認してください。

百度搜索资源平台(旧・百度站长平台)を活用する

百度版のSearch Console

百度搜索资源平台(ziyuan.baidu.com)は、百度が提供するサイト運営者向けのツールで、以前は「百度站长平台」と呼ばれていました。Google の Search Console に相当するもので、百度SEOに取り組むなら登録しておきたいツールです。

主に次のような機能が提供されています(機能の名称や内容は変更されることがあります)。

  • サイトの所有権確認
  • URL や sitemap の送信による収録(インデックス)の促進
  • 収録状況(インデックス量)の確認
  • クロールの状況や異常の確認
  • robots.txt の確認
  • 検索キーワードや流入状況の確認

登録の手順と、登録後に最初に設定したい機能は「百度搜索资源平台の登録方法と使い方」で解説しています。

収録されなければ順位は付かない

どれだけ良いページを作っても、百度に収録されなければ検索結果には表示されません。新しいサイトや海外サーバーのサイトでは、百度への収録に時間がかかることもあると言われています。百度搜索资源平台で sitemap や新しい URL を送信し、収録状況を定期的に確認することが基本的な運用になります。

TDK(タイトル・ディスクリプション・キーワード)を整える

中国の SEO では、title(タイトル)、description(ディスクリプション)、keywords(キーワード)の3つをまとめて「TDK」と呼ぶことがよくあります。

タイトル(title)

タイトルは、検索結果に表示され、ページの内容を伝える最も重要な要素の1つです。

  • 狙うキーワードを自然な形で前のほうに入れる
  • ページごとに固有のタイトルにする
  • キーワードを不自然に詰め込まない

百度はタイトルの過度なキーワード詰め込みや、内容と一致しない誇張したタイトルを好ましくないものとしているとされています。

ページの種類ごとのタイトルの型や、百度に書き換えられやすいタイトルの特徴は「百度向けのtitle・descriptionの書き方」で詳しく解説しています。

ディスクリプション(description)

ディスクリプションは検索結果のスニペットとして使われることがあり、クリック率に影響します。ページの内容を簡潔に要約し、ユーザーがクリックしたくなる説明文にしましょう。

キーワード(keywords)

meta keywords タグは、Google では順位の評価に使われていないとされています。一方、百度については参考にされる可能性があるとする見方もあり、中国の SEO 実務では設定しておくケースが多く見られます。設定する場合も、ページ内容に関係する語を少数に絞り、詰め込みは避けましょう。

外部リンクの考え方

質を重視する

外部リンク(被リンク)が評価要素の1つである点は、百度も Google も共通しているとされます。ただし、量を増やすことだけを目的としたリンクの購入や、関連性の低いサイトからの大量のリンクは、百度でもペナルティの対象になり得ます。百度はリンクの売買などを対象としたアルゴリズムを導入していると言われており、不自然なリンクの獲得はリスクの高い施策です。

中国国内での露出を増やす

中国向けサイトの場合、日本のサイトからのリンクより、中国国内の関連サイトからの言及やリンクのほうが、ターゲットとの関連性という意味で価値が高いと考えられます。

  • 中国の業界メディアやポータルでの情報発信
  • 中国の取引先・パートナー企業のサイトでの紹介
  • 中国のSNSや情報プラットフォームでの発信

など、事業として自然な露出を積み重ねることが、結果的にリンクの獲得にもつながります。避けたいリンクの例や、中国のメディア・プラットフォームの使い分けは「百度SEOの被リンク対策」で詳しく解説しています。

モバイル対応

中国ではスマートフォンでのインターネット利用が多いとされており、百度でもモバイル検索への対応が重要です。

  • レスポンシブデザインなどでスマートフォンでも見やすいページにする
  • 画像の圧縮や不要なスクリプトの削減で表示を軽くする
  • PC版とモバイル版でURLを分けている場合は、対応関係を百度に伝える(百度搜索资源平台に関連する機能があります)

百度ではPCとモバイルで検索結果や順位が異なることがあるため、両方の状況を意識しておくとよいでしょう(詳しくは百度のPC順位とモバイル順位の違い)。

百度自社サービスが上位に表示される

百度百科・百度知道・百家号など

百度の検索結果では、百度百科(百科事典)、百度知道(Q&A)、百度贴吧(掲示板)、百家号(コンテンツ配信プラットフォーム)、百度文库(文書共有)など、百度自身が運営するサービスのページが上位に表示されることがよくあります。

自社サイト以外の「受け皿」も考える

このため、百度SEOでは自社サイトの順位だけでなく、百度の各サービス上でどのように自社が紹介されているかも重要になります。

  • 百度百科に自社や製品の項目があるか、内容が正確か
  • 百度知道などで自社に関する質問・回答がどう扱われているか
  • 百家号などでの情報発信が可能か

各サービスには独自の規約や審査があるため、利用する場合は各サービスのルールを確認してください。ルールに反する宣伝的な投稿は、削除やアカウント停止の対象になる場合があります。各サービスでできることと注意点は「百度百科・百度知道・百家号の使い方とSEO効果」で解説しています。

広告枠との関係

百度の検索結果の上部には、検索連動型広告が表示されることがあります。自然検索で上位を取っても、画面上では広告や百度自社サービスの下に表示されることがあるため、重要なキーワードでは広告との併用を検討する企業もあります。

技術面のチェックポイント

最後に、百度SEOで確認しておきたい技術的なポイントをまとめます。

チェック項目 確認内容
robots.txt Baiduspider のクロールを誤ってブロックしていないか
sitemap 作成し、百度搜索资源平台から送信しているか
表示速度 中国国内から表示が遅くないか、海外の外部リソースに依存していないか
JavaScript 重要な本文やリンクがJavaScriptの実行なしでも取得できるか
URL構造 シンプルで、言語やカテゴリが分かりやすいか
リダイレクト URL変更時に適切なリダイレクトを設定しているか
HTTPS 常時SSL化しているか

とくに JavaScript で描画するサイトは、百度がどこまで内容を読み取れるかが Google ほど明確ではないとされているため、重要なコンテンツは HTML に直接含めるか、サーバーサイドレンダリングなどで対応しておくと安心です。

施策の効果は順位で定点観測する

百度SEOは、施策を実施してから効果が現れるまでに時間がかかることがあります。だからこそ、狙ったキーワードの順位を継続的に記録し、施策と順位の変化を突き合わせることが重要です。

日本から手動で百度を検索すると、地域やパーソナライズの影響で中国国内のユーザーが見ている結果とずれる可能性があります。施策の評価には、同じ条件で継続的に計測した順位データを使いましょう。具体的な方法は「百度の順位チェック方法」の記事で解説しています。

まとめ

百度SEOの基本は Google SEO と共通していますが、次のような百度ならではのポイントがあります。

  • 中国本土向けには簡体字中国語のコンテンツが基本
  • 表示速度の面では中国国内サーバーが有利とされ、その場合はICP備案が必要
  • 百度搜索资源平台で収録状況を管理する
  • TDKを整え、キーワードの詰め込みは避ける
  • 外部リンクは質と関連性を重視する
  • モバイル対応を進める
  • 百度自社サービス上での露出も意識する

これらを一度に完璧に整える必要はありません。まずは収録と基本的な TDK を整え、順位の推移を見ながら優先度の高い施策から取り組んでいきましょう。

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