日本企業が中国語(簡体字)サイトを作るときのSEOチェックリスト|URL設計・翻訳・海外サービスの置き換えまで

日本語サイトの中国語版を作ることが決まると、多くの場合は翻訳と制作の段取りから話が始まります。ところが、公開してから「中国から開くと地図が表示されない」「問い合わせフォームが送信できない」「百度に日本語ページばかり収録される」といった問題に気づくケースは少なくありません。こうした問題の多くは、制作の前に決めておけば避けられます。

この記事では、日本企業が中国本土向けの簡体字サイトを作るときに確認したい項目を、「制作前に決めること」「ページの作り」「海外サービスの置き換え」「公開前後の確認」の4つに分けて紹介します。サーバーの場所とICP備案については別記事で詳しく扱っているため、ここでは要点だけに触れます。

制作前に決めること

□ 誰に向けたサイトかを決める

最初に、中国本土の顧客に向けるのか、台湾・香港も含めた中国語圏全体に向けるのかを決めます。中国本土で使われるのは簡体字、台湾・香港で主に使われるのは繁体字で、言葉の選び方そのものが違うこともあります。百度で中国本土のユーザーに見つけてもらうことが目的なら、簡体字のページを用意するのが前提です。

□ URLの分け方を決める

中国語版をどのURLで公開するかは、後から変えるほど手間がかかります。主な選択肢は次の3つです。

方式 例 向いているケース 注意点
サブディレクトリ example.com/cn/ 既存サイトの中で手軽に始めたい 中国語版だけ別のサーバーに置くには、リバースプロキシなどの設定が必要になる
サブドメイン cn.example.com 中国語版だけ別のサーバーで運用したい 本体サイトとは別に評価を積み上げる必要がある
中国向けドメイン example.cn 中国で本格的に長く事業を続ける ドメインの取得・管理の手間と費用がかかる

中国向けサイトの制作を支援する Chinafy は、手軽さを優先するならサブディレクトリ、技術的な自由度が必要ならサブドメイン、本格的に中国で事業を続けるなら .cn などの中国向けドメインが向くと整理しています。

判断の分かれ目になるのが、サーバーの場所です。中国本土のユーザーへの表示速度を優先して中国国内や香港のサーバーを使う場合、サブディレクトリでは中国語版だけを別のサーバーに置くのが難しく、置くにはリバースプロキシやCDNの設定が必要になります。サーバーの選び方は「中国向けサイトのサーバー選び」を参考に、URLの分け方と合わせて決めましょう。中国本土のサーバーを使うには、原則として ICP備案が必要です(ICP備案の確認方法)。

□ 翻訳ではなくローカライズの体制を作る

日本語の原稿を翻訳するだけでは、中国のユーザーに自然に読まれる文章になりにくく、検索される言葉とも一致しないことがあります。百度は、直訳ではなく現地の言葉として自然に読める内容を評価するとされています。機械翻訳だけで済ませず、中国語を母語とする人に原稿を見てもらう体制を作りましょう。

あわせて、製品名やサービス名の中国語表記を社内で統一しておくことも大切です。どの言葉で検索されているかの調べ方は「百度向けキーワード調査のやり方」で解説しています。

ページの作り

□ HTMLの言語指定を簡体字中国語にする

中国語ページの html 要素の lang 属性を zh-CN などの簡体字中国語に設定し、文字コードは UTF-8 にそろえます。日本語版のテンプレートを流用すると、lang 属性が ja のまま残ってしまうことがあるので注意しましょう。

Google では、言語ごとのページの対応関係を hreflang で伝えるのが一般的です。一方、Chinafy は、百度は Google ほど hreflang を全面的には扱っていないとしています。hreflang を設定しておくこと自体に問題はありませんが、それだけに頼らず、言語ごとにURLを明確に分ける、中国語版のサイトマップを用意して百度に送信する、といった基本を押さえておきましょう。

□ title・description・見出しも中国語にする

本文だけ翻訳して、title タグや description、画像の alt 属性が日本語のまま残っているケースはよくあります。検索結果に表示される title と description は、ページの中でも特に重要な部分です。テンプレートの共通部分(ヘッダー、フッター、パンくずリスト、ボタンの文言など)も含めて、中国語になっているかを確認しましょう。

□ 中国語のWebフォントを使いすぎない

中国語は使う文字の種類が多いため、Webフォントのファイルは日本語や英語のフォントに比べて大きくなりがちです。さらに、Google Fonts など海外のフォント配信サービスは、中国本土から読み込みにくいことがあります。見出しなど一部だけに使うか、端末に入っている標準のフォントで表示する設計にしておくと、表示の遅れを防げます。

□ 日本語版の画像に入っている文字を見直す

バナーや図解の画像に日本語の文字が入っていると、本文を中国語にしても、画像の部分だけ日本語のまま残ります。中国語版の画像を用意するか、文字は画像ではなくHTMLのテキストで載せる設計にしておきましょう。

海外サービスの置き換え

日本語サイトで当たり前に使っている海外のサービスの中には、中国本土からは使えない、または安定して使えないものがあります。中国語版では、次のようなサービスを置き換える必要がないか確認しましょう。

用途 日本語サイトでよく使うもの 中国本土での状況 置き換えの例
地図 Google マップ 使えない。埋め込んだ部分が表示されず、ページ全体の表示が遅れることもある 百度地图、高德地图、腾讯地图
動画 YouTube の埋め込み 中国本土から視聴できない 中国国内の動画サービス、または自社サーバーからの配信
フォームの認証 Google reCAPTCHA 安定して動かないとされる 中国で広く使われる GeeTest(极验)など
アクセス解析 Google アナリティクス 計測が欠けるおそれがある 百度统计
フォント Google Fonts 読み込みが遅れる、または失敗することがある 端末の標準フォント、自社サーバーからの配信

□ 地図

Chinafy の解説では、Google マップは中国本土では動作せず、埋め込んだ地図の部分が空白になるだけでなく、地図のスクリプトがページ全体の表示を止めてしまうこともあるとしています。中国では百度地图(百度マップ)、高德地图(Amap)、腾讯地图などが使われています。ただし、これらの地図サービスは Google マップと座標の基準が異なり(中国の地図は GCJ-02 などの独自の基準を使い、そのままでは数百メートルずれることがあります)、住所の位置を設定するときは、各サービス上で改めて位置を指定するのが確実です。

地図を埋め込まず、住所のテキストと最寄り駅などの案内だけを載せるのも、手軽で確実な方法です。

□ 問い合わせフォーム

中国語版で見落としやすいのが、問い合わせフォームのスパム対策です。Google reCAPTCHA は google.com などのドメインに依存するため、中国本土では標準の設定のままだと安定して動かないとされています。Google は代替の配信ドメインとして recaptcha.net を案内していますが、それでも不安定だという報告があります。

認証が動かないと、中国のユーザーはフォームを送信できず、問い合わせの機会を逃します。中国語版のフォームは、公開前に中国本土から実際に送信できるかを必ず確かめましょう。

あわせて、連絡手段も見直します。電話番号の入力欄が日本の形式しか受け付けない、メールアドレスの入力欄が中国でよく使われるドメイン(qq.com、163.com など)を弾いてしまう、といった問題がないか確認します。WeChat(微信)など、中国で一般的な連絡手段を併記することも検討しましょう。

□ アクセス解析

Chinafy は Google アナリティクスのドメインが中国でブロックされているとしており、中国本土からのアクセスは計測できない、または欠けるおそれがあります。中国本土からのアクセスを正しく把握したい場合は、百度のアクセス解析ツール「百度统计」を併用する方法があります。百度アカウントで登録し、発行された計測用のコードをページに埋め込んで使います。

公開前後の確認

□ 中国本土から表示と動作を確かめる

日本から見て問題がなくても、中国本土からは地図やフォームが動かないことがあります。中国の速度測定サービスで表示速度を測るとともに、中国の拠点や取引先に依頼して、実際の端末でページの表示、フォームの送信、動画の再生を確かめてもらうと安心です。表示速度の測り方は「中国向けサイトのサーバー選び」で紹介しています。

□ 百度搜索资源平台に登録し、サイトマップを送信する

公開したら、百度搜索资源平台にサイトを登録し、中国語版のサイトマップを送信します。登録の手順は「百度搜索资源平台の登録方法と使い方」をご覧ください。

□ 収録と順位の確認を習慣にする

公開後しばらくは、中国語版のページが百度に収録されているか、狙ったキーワードでどの順位に表示されているかを定期的に確認します。収録の確認方法は「百度の収録数(インデックス)を確認する方法」、順位の確認方法は「百度の順位チェック方法」で解説しています。

チェックリストのまとめ

制作前

  • 対象を中国本土にするか決め、簡体字のページを用意する
  • サーバーの場所とあわせて、URLの分け方を決める
  • 中国語を母語とする人が原稿を確認する体制を作り、製品名の中国語表記を統一する

ページの作り

  • lang 属性を zh-CN などにし、文字コードを UTF-8 にする
  • title・description・alt 属性・テンプレートの共通部分も中国語にする
  • 中国語のWebフォントを使いすぎない
  • 画像に入っている日本語の文字を見直す

海外サービスの置き換え

  • 地図、動画、フォームの認証、アクセス解析、フォントを中国本土で使えるものにする

公開前後

  • 中国本土から表示とフォームの送信を確かめる
  • 百度搜索资源平台に登録し、サイトマップを送信する
  • 収録と順位を定期的に確認する

百度SEO全体の進め方は「百度SEOの基本」にまとめています。

SEOChinaでできること

SEOChina は、日本語で使える百度の順位チェックツールです。中国語版サイトを公開したら、狙っているキーワードの順位を公開直後から記録しておくと、改善の効果を確かめやすくなります。

  • 登録したドメインとキーワードについて、百度PCの順位を毎日記録し、推移を表で確認できます
  • 順位は50位まで取得し、ランクインしたURLも確認できます
  • ICP備案・Whois・百度収録数の単発調査にも対応しています

Free プランは無料で、1ドメイン・日次順位監視10枠(履歴30日保存)から始められます。登録はこちらから行えます。

参考

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